地産地消を考える

昨日は、お彼岸の中日
雨の中で墓参りを済ませた方も多かったかと思います。
休日はアクセス数が落ち気味ですが、
皆さん、休日は外での御用が多いのでしょう。
さて、今日は鹿沼の特産物について考えてみました。

鹿沼市では、数年前に「焼肉のまち」というキャンペーンを始めました。
「ギョーザ」の宇都宮
「ラーメン」の佐野
などに対抗し、「鹿沼も何か食文化のメッカにしたい」
という試みだったのでしょう。
でも、はっきり言って失敗だったと思います。
まだその旗を下ろしていないようですので(鹿沼市のHPにも載ってます)、
過去形で書くのは失礼かもしれませんが、どう見ても定着していません。
そろそろ撤退する時期かと思います。

そもそも何故鹿沼が「焼肉のまち」なのか、理解できません。
宇都宮のギョーザは、ひとり頭の消費量が日本一ということや、
ギョーザ専門店が非常に多いことなどからキャンペーンが始まり、
マスコミにも上手く乗って成功したようです。
佐野のラーメンは、昔からラーメン店が多く、
市民の食生活にもラーメンが定着しています。
(佐野出身の人に聞きましたが、あちらでは「外食」というと、まずはラーメンになるそうです)
それに対して、鹿沼市民は、そんなに焼肉を食べ ているのでしょうか?

聞くところによると、鹿沼市内のある肉牛生産農家が、
全国品評会で一位を受賞したのが、きっかけだったとか。
え〜それだけ?というのが正直な感想です。
鹿沼市HPに、阿部市長のあいさつ文が載っていますので、引用します。

「鹿沼市では、市内の和牛生産農家の長年の努力が実を結び、
共励会において日本一に輝くなど、良質の肉牛が生産されております。
これを街おこしの起爆剤として活用できないかと考え
「焼肉のまち かぬま」を発案しました。
「焼肉のまち かぬま」としたのは、
牛肉が最も市民の身近に食べてもらえる形態であると考え命名したものですが、
今後、良質な牛肉を多くの料理、お店で活用していただけるよう事業展開をし、
新たな食文化の創造を図ってまいりますので、みなさまのご支援、
ご協力をお願いいたします。
「焼肉のまち かぬま」推進協議会委員長
鹿沼市長 阿部 和夫」

宇都宮や佐野と根本的に違うのは、
まず焼肉が市民に定着している実態があって、
そこにキャンペーンを張ったのではなく、
実体が伴わない中、行政主導で行おうとしたのが実態のようです。
これでは広がりようがありません。
「食」でキャンペーンを張るのであれば
まずは、鹿沼の「食」の実態から考えていくべきだったと思います。

では、鹿沼の「食」の実態でいえば
蕎麦の方がぴったり来ます。
それほど蕎麦は私たちの暮らしに密接だと思います。
粟野町との合併で、そばの作付面積が県内一になったことを契機に、
市でも蕎麦について本格的に取り組もうと
「鹿沼そば振興会」を設立しました。
生産・流通・販売にいたる過程をひとつにまとめて振興していくようで、
これはなかなか良い政策だと思います。
ただ、販売で止まってしまっているのが惜しい。
消費者をも巻き込んでいくことが必要でしょう。

鹿沼の人は、外食や出前で蕎麦を食べることが多いようですが、
自分で蕎麦を打つ人もたくさんいます。
蕎麦内の趣味が高じて、プロになってしまった人もいるとか。
そこで、蕎麦を振興するのであれば、
プロ(生産・流通・販売)のための政策だけでなく、
消費者のための政策も進めてほしいものです。
具体的には、蕎麦打ち教室を開催するとか
家庭での蕎麦の消費を増やす方法を検討してみてはいかがでしょうか?
消費者の裾野を広げることで、消費も増えるはずです。
また、団塊世代を中心に、都会から田舎に移り住む人たちに対して、
蕎麦の栽培を指導するとかも良いでしょう。

要するに、地産地消の考えで行ってほしいのです。
地産地消とは、その地で取れた産物を、その地で消費するということです。
そもそも食の材料は、地元ですべて調達するのが当たり前でした。
それが、商品流通経済が発達するとともに、よその地でとれた食材や
よその地で加工された食材が、どんどん入ってくるようになり、
いまや地元の食材のほうが少ないような現状です。
そして、コストを削減することで価格を下げることの競争になり、
いつも間にか食の産地のことなど、気にされなくなってしまいました。
今では、産地を表示するのは「地域ブランド」のような「高級化」
と同義語のようになっています。

しかし、先日のギョーザ問題にも見られるように、
食はコストよりも、品質と安全性こそが
第一に考えられるべきではないでしょうか。
そのことから考えると、
地産地消を進めることは、
単に生産者のためだけではなく、
地元の消費者のためにもなると思います。
生産者の顔が見える商品、
それは、安全性への信頼にもつながります。


農産物の直売所なども、こうした取り組みの助けになるでしょう。

そして、もうひとつ注文したいのは、ふるさとの味の伝承です。
前回まで説明した地元学の考えでもありますが、
足元にある当たり前の味(食材・食事)を見つめなおし、
そこから鹿沼の特色となる宝が見つかるかもしれません。
そうしたことも、前向きに取り組みたいものです。

今回は、「焼肉」と「蕎麦」
この二つを比較して、地産地消について考えてみました。
皆さんのご意見もお待ちしています。


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by 佐渡ケ島  at 12:14 |  地元学 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑

地元学の場としての博物館

最近、身辺が多忙になってきたため、更新ペースが落ち気味です。
にもかかわらず、17日には過去最高の126アクセスをいただきました。
当初は一日30件ほどのアクセスだったことを考えると、
管理人自身もびっくりするくらいの増加です。
皆様のご期待にこたえられるように、がんばって記事を書いていきたいと思います。

さて、今日は前回に引き続き「地元学」の視点からのまちづくりについて
考えてみたいと思います。
前回は、水俣市から始まった地元学の動きと、その方法論
そして、地元学の考え方を、鹿沼のまちづくりにも活かすべきではないか
という問いかけをさせていただきました。
今回は、その応用編です。
鹿沼の地で、地元学をどのようにすすめ、活用したらよいかの試案です。

地元学では、足元にある当たり前のものを、
地元の人自らが「地域の宝」として再発見することから始まることは、
前回述べたとおりです。
では、鹿沼の「宝」とは何でしょう?
それは、例えば秋祭りの彫刻屋台とか、
イチゴやニラといった特産物とか、
皐月栽培と鹿沼土とか、木工業とかのように、
これまでマスコミに取り上げられたり、行政がPRしてきたものだけとは限りません。
自分の周りに、あまりにも当たり前のようにあるがゆえに
気づかなかった「宝」が、まだまだたくさんあるはずです。
それらを、どう見つけ、活かしていくか、その方法論が大切なのです。

ところで、鹿沼には歴史を研究する「鹿沼史談会」や、
自然観察を続けている「鹿沼自然観察会」などの団体が、
すでに長年にわたって活動しています。
また、そのものズバリ地元学を推進する団体として
NPO法人鹿沼学舎という組織もあります。
こうした団体に参加したり、行事に参加するのも、
地元を知る第一歩になるでしょう。
また、個人で地元の事について関心を持ち、
調査や研究を続けている方も多いと思います。

こうした団体や個人は、地元学のナビゲーターになりうる存在ですが、
地元学に取り組むには、必ずしも各分野の専門家である必要はありません。
むしろ、専門知識など無くても、足元の事象に関心を持つ事ができれば、
誰にでもできるのです。
ですから、1人でも多くの鹿沼市民が、自分の足元にある「当たり前のもの」に
関心を持つことが出来るようにするために、
こんな政策を考えてみました。

「博物館を活用した地元学」のこころみ

皆さんは、「博物館」というと、どのようなイメージをもたれるでしょうか?
 ・動植物の標本や土器などが展示してある難しそうな施設
 ・科学や歴史の専門家でないと、とっつきにくい場所
 ・興味ある展示なら見に行くが、それ以外は別に関心が無い
 ・文化施設は別に無くても良い。税金の無駄遣い
 ・観光の目玉になるようなお宝があればよいが、無ければ無用
といった印象を持ってはいないでしょうか?
確かに、バブル期などに、意味も無く豪華な博物館やコンサートホールなどを
全国の自治体が競って造っていた時期がありました。
バブル崩壊後、自治体財政が厳しくなる中で、これらの施設は「お荷物」とされ、
無駄な公共事業の象徴のように報道されることもあります。
理念もなく無駄に豪華な施設を作ることは、未来のことを考えない愚策です。

でも、博物館という施設が、必ずこうなるわけではありません。、
博物館とは本来、地元学の視点を取り入れて運営することで、
市民が自らまちづくりを考える上で、無限の可能性を秘めているのです。
なぜなら、自治体が運営する博物館(地域博物館)には、
地元の資源=歴史・民俗・自然・産業などの基礎資料が、膨大に蓄積されているからです。
それは、地元学に取り組もうとする人にとって、まさに宝の山なのです。
これを有効に活かさない手はありません。

そのために博物館に求められるのは、情報の積極的な開示です。
博物館というと、まずは資料の展示を思い浮かべるでしょう。
でも、それは機能の一部にしか過ぎません。
一番重要な役割は、膨大な蓄積された地域情報(資料)をきちんと保存すること
そしてそれを積極的に公開し、活用することです。
そのためには、博物館に次のような機能が必要です。
 ・資料がデータベース化され、誰でも検索できるようになっている
 ・資料を自由に閲覧する事ができる
 ・資料について尋ねたり、アドバイスをする学芸職員が常駐している。
 ・地元学の実践活動をする場所が確保されている。
こうした機能を博物館に持たせることで、博物館は単なる研究と展示の施設から、
市民が地元学を実践するための拠点として、活用できるようになります。
また、こうした機能を持たせることで、博物館の職員の側も、
個人的関心の研究をするだけでなく、
市民とともに地元資源について考え、地元学的な運営を心がけるようになります。
今、求められている自治体博物館とは、こうした姿なのではないでしょうか?

さて、前回の記事で、鹿沼市で「まちなか歴史博物館」
という計画が進められていると書きましたが、
この計画は、地元学的な視点を取り入れているのでしょうか?
気になるところです。
今年中に策定されるらしいその整備計画には、
ぜひとも地元学の視点を盛り込んでいただきたいと思います。
しかし、市役所内部からの情報では、「まちなか…」の計画は、
新たな施設はなるべく造らず、
屋台公園などの既存施設や、ジャスコ跡地に計画中の「お祭り館」、
ダム関連施設などと「ネットワーク」を組んで活用する、というものになるそうです。
そうなると、地元学の実践に即した形にはなりそうにありません。

別に豪華な施設を造る必要はありませんが、
地元資源を集中管理できる収蔵設備と、
それを保存・活用するための学芸職員の確保
そして市民に資料を公開し、利用できるスペース
これらをしっかりと確保する事が、最低条件になると思います。

せっかく博物館を整備する計画が立ち上がったのであれば、
中途半端で使えないものを造るのでは、それこそ税金の無駄です。
きちんとした理念(ここでは地元学の理念)を組み込んで、
十分に活用できる博物館を求めたいと思います。


皆さんのご意見も、お待ちしています。


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by 佐渡ケ島  at 00:00 |  地元学 |  comment (3)  |  trackback (0)  |  page top ↑

水から考えるまちづくり

昨日も、記事をUPできませんでした。
にもかかわらず、50件以上のアクセスをいただき、感謝申し上げます。
さて、今日も将来の鹿沼について考えてみたいと思います。
今日のテーマは「水」です。
水は、私たちの暮らしに欠かせません。
そして、鹿沼市が、水に恵まれた地域であることは、どなたも認識していらっしゃると思います。
にもかかわらず、これを活かしきっているように見えないのが、残念です。

一昨年亡くなられた公害研究の第一人者の宇井純先生(沖縄大学教授)は、
栃木県出身でした。
詳しくは知りませんが、ご両親が鹿沼出身という情報もあります。
その宇井先生が、今から20年くらい前、地元の新聞に
「ふるさとの水」という連載記事を書かれていました。
その中で、鹿沼市の河川の水の素晴らしさについて、
絶賛していたのを記憶しています。
あの宇井先生も認めた鹿沼の水、
このことは、私の記憶に刻み込まれました。
確か、市街地を流れる黒川で鮎釣 りが出来るほど綺麗だ
といった表現だったような気がします。
この連載は、その後単行本にまとめられ、私も持っているはずなのですが、
残念ながら引越しのときに仕舞い込んでしまったらしく、出てきません。
よって、記憶を頼りに書いているのでご容赦ください。

また、大芦川・加蘇川、小倉川などは鮎などの渓流つりのメッカとなっており、
遠方からも太公望たちがやってきます。
また、これらの川からはあちこちで農業用水が引かれ、
多くの田畑を灌漑しています。
近年では、板荷のせせらぎプールのように、清流をそのまま活かした活用もされています。

河川だけではありません。
鹿沼市の水道水は、現在100%地下水で供給されています。
鹿沼の西北部を占めている足尾山系は、豊富な伏流水があり、
水に困ることはありませんでした。
東部の台地地域(北犬飼・菊沢の一部)を除けば、
鹿沼市域は水に困る地域ではなかったのです。
そして、この豊富で優れた水を、どう活用すべきかを考えるべきだと思います。
私たちは、この素晴らしい水環境を「当たり前」のものとして享受し続けた結果、
その価値を見失ってはいないでしょうか?

皆さんは、「地元学」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、地元に当たり前のようにある自然・歴史・民俗・産物などを
地元の「資源」と考え、
それを地元に住む人々が、自ら学び、その価値を再発見し、
そこからまちづくりを考えるという運動です。
現在、地元学によるまちづくりは、全国各地で取り組まれていますが、
その発祥の地は、熊本県の水俣市でした。

水俣市と言えば、公害病の代名詞ともなった「水俣病」で名を知られています。
水俣市は、この郊外による直接の被害ばかりでなく、
長年にわたる「公害の町」というマイナスイメージが、
住民を苦しめました。
また、補償交渉を行う中で住民同士の対立がまれ、
地域社会の分裂を生み出し、
前向きなまちづくりができなくなっていたのです。

そこに、吉本哲郎さんという一人の市職員が立ち上がりました。
吉本さんは、環境行政にかかわる中から、
「対立を創造に転換するためには、お互いの違いを認め合い、
距離を近づけて話し合うことだ、と気づき、
水俣のような事件を繰り返さない社会をつくるために
自分たちの足元を見直すことから始めようと地元学を開始しました。
そして、「地元のことを地元に住むものが良く知らないのに、
ものをつくったり、地域をつくったりしようとしていることの矛盾に気がついた」
ことから、自らの足と目と耳で調べ、考えながら、
地域最大の課題「水俣病問題」に取り組んでいきました。

そして、多くの生産者が環境と体の健康をめざした
農作物づくりを行うようになりました。
市はこれらの生産者を「環境マイスター制度」で高く評価したり、
ISO環境マネジメントシステムの運用に早くから取り組み、
簡易なものにして学校や家庭への導入を図るなど、
環境施策を次々に講じ、「環境モデル都市づくり」を実践、
環境先進都市として新たな脚光を浴びつつあります。
(以上「地元学ユビキタス」から引用させていただきました)

吉本さんが水俣市で地元学をはじめたとき、
最初に取り組んだのが「地域資源マップ」をつくることでした。
地域資源マップの作り方は、次のようなものです。
まず、地域に住んでいる人たちが、
自分でその地域を歩き、そこにあるすべてのものを記録し、
写真に撮り、カードにまとめます。
価値のあるなしを判断することなく、とにかく記録します。
次に、そこで得られた情報(カード)をまとめて、絵地図を作っていきます。
こうして得られた情報は、テーマごとに分けられ、
「地域資源マップ」や「水のゆくえ」をはじめ、
「農家のまわりの有用植物」、「自家用の野菜畑」、「地域の暮らしを支える職人たち」など、
各テーマに沿った絵地図の作成に反映されます。

これは学術的研究でないため、誰にでもできる作業です。
そして、外部の人も参加することで、
地元の人では気づかない地元の価値に気づくこともできます。
地域のなかでは日常的な風景でも、外部地域の人にとっては新鮮であったり、
疑問に思うことも多いはずです。
地域の人も、丹念に地域を歩いて調査するという経験を持っている人は少なく、
意外な発見も出てきます。
外部地域の人にとっても自らの地域を振り返る機会となり、地域への関心が出てきます。
こうして、地域の人が自らの地域を再発見し、
その意味を、自ら考えるようになるのです。
 ※参考文献:「地元学の特質と背景」大塚勝海

こうした「地元学」の視点をまちづくりに取り入れることで、
役所や他人任せではなく、
市民一人ひとりが自分の足元から地域づくりを考えていく土壌が作られるのです。
鹿沼でも、未来の鹿沼を考えるに当たって、
こうした視点が求められているのではないでしょうか?

まちづくりの基本は、そこに住む人々が、
自らの地域について知ることから始まるべきです。
そこに何があるのか?
そこか何ができるのか?
一人ひとりが考え、その声を集め、
その集大成が鹿沼市の未来だと思います。
決して行き当たりばったりに、
補助金が取れるからとか、公共工事をやりたいからとか
そんなことがまちづくりの契機になってはいけないと思います。


鹿沼の「宝」は何なのか?
足元から考えていきませんか?

水の話をきっかけに、地元学の紹介をしてみました。
鹿沼の優れた「水」は、未来に残すべき鹿沼の宝だと思います。
ダムをつくることでそれを失う前に、足元から考え直す必要があると思います。
次回は、地元学の方法論を、まちづくりに活かす話について
もう少し述べてみたいと思います。

皆さんのご意見をお待ちしています。


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by 佐渡ケ島  at 12:45 |  地元学 |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
プロフィール

Author:佐渡ケ島
鹿沼生まれ、鹿沼育ち、
今はサラリーマンをしています。
未来を担う子供たちのために
ふるさとの未来を、少しでも良いものにするために
何ができるのか日々思案中です。
鹿沼の宝を未来へ!

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